今回は、所得税の確定申告に向けて、決算整理を行っていただく際に特に注意していただきたい事項をとりまとめたものを記載します。決算整理の際の参考としてご利用ください。

　すべての項目が正しく処理されていればＯＫとなります。

 

１．「売上について」

　①　掛売りなどを売上げに含めていますか。

　②　１２月分の締切日後１２月３１日までの掛売りを売上げに含めていますか。

　③　１月分の請求から、前年１２月分の締切後１２月３１日までの掛売上げを除きましたか。

　④　家事消費を売上げに含めていますか。また、家事消費の額は、家族構成などからみて妥当ですか。

　⑤　空容器、作業くずの売却収入などの雑収入を売上げに含めていますか。

　⑥　仕入割戻しなどのリベートや消費税の還付金（税込経理の場合）を雑収入に含めていますか。ま　

　　た、銀行振込みされたリベートなどを雑収入に含めていますか。

 

２．「売上原価について」

　①　掛買いなどを仕入れに含めていますか。

　②　１２月分の締切後１２月３１日までの掛買いを仕入れに含めていますか。

　③　１月分の請求から、前年１２月分の締切後１２月３１日までの掛仕入れを除きましたか。

　④　値引き、返品、相殺による仕入れの経理処理は、正しくできていますか。

　⑤　商品などの実地棚卸しをしましたか。また、棚卸表などを保存していますか。

　⑥　棚卸の数量、単価などの計算に間違いはありませんか。また、実地棚卸日と１２月３１日との調整　

　　は行いましたか（消費税の免税事業者や税込経理方式を採用している課税事業者の場合は、消費税等　

　　を含めた単価で計算します。）

　⑦　委託販売などで、店舗以外の場所に保管している商品を棚卸しに含めましたか。

　⑧　棚卸資産の評価は、届け出た方式によってい行っていますか（届け出ていない場合は、「最終仕入

　　原価法」によることになります。）。

　⑨　半製品、仕掛品、未成工事、未着品、預け品等を棚卸しに含めましたか。

 

３．「経費について」

　①　家事関連費のうち、家事用分を減算していますか（特に、水道光熱費、通信費、接待交際費、損害

　　保険料、修繕費、消耗品費、福利厚生費、利子割引料、地代家賃などの経費科目に注意してくださ

　　い。）。

　②　１２月３１日でまだ支払っていないもので、計上漏れはありませんか（水道光熱費、通信費などの

　　経費科目は、１２月分を翌年の１月に支払うことが多いので注意してください。）。

　③　銀行自動振替のもので、記帳漏れになっているものはありませんか（預金通帳との照合はできてい

　　ますか）。

　④　前年分の経費で、本年支払ったものを経費に含めていませんか。

　⑤　翌年分の経費で、前払したものを本年の経費に含めていませんか。

　⑥ 「租税公課」に、経費とならない所得税、府県・市町村民税、国民健康保険料などを含めていませ

　　んか。

　⑦　長期損害保険契約など積立部分のあるもので、その積立部分を「損害保険料」として経費に含めて

　　いませんか。

　⑧　改築費用などで、資本的支出になるものを「修繕費」として経費に含めていませんか（２０万円以

　　上のものは注意してください。）。

　⑨  「消耗品費」に、１個又は１組の値段が１０万円以上のものを含めていませんか。

　⑩　減価償却費の耐用年数（償却率）及び償却方法に誤りはありませんか（届け出ていない場合は、

　 「定額法」によることになります。）

　⑪　建物の減価償却の計算については、適正な耐用年数を適用していますか。

　⑫　平成１０年４月１日以後に取得（相続、遺贈又は贈与によるものを含みます。）した建物の償却方

　　法は、定額法に限定（平成１９年３月３１日以前の取得は旧定額法）されていますが、正しく計算し

　　ていますか。

　⑬　年の中途で業務の用に供した機械・装置等がある場合、月割計算により償却費の額を計算していま

　　すか。

　⑭　特別償却、割増償却など特例の適用に誤りはありませんか。

　⑮　青色事業専従者給与の額は、届出額の範囲内となっていますか。従事内容等からみて妥当な額に

　　なっていますか。また、源泉徴収に誤りはありませんか。

　⑯　青色申告特別控除の適用に誤りはありませんか。

 

以上となります。ご自身の事業に関係のない項目は省いて、ご参考にして頂ければ幸いです。